君に染まる(前編)
…え?
「元々釣り合ってないんだから
気にするほどのことでもないし、
こうなることは予想出来てたしね?」
思ってもみなかった言葉に
何も言えない。
これは…励ましてくれてるの?
「まぁ特別な関係になる前に
捨てられて良かったじゃない。
これを機に創吾とは縁を切って、
未央ちゃんの生活に戻ればいい話」
違う…軽く、けなされてる?
「ということで、
もう創吾には関わらないようにね?」
口調はすごく優しいけど、
言葉から優しさを感じられない。
それでも、
「…はい」
素直に頷くあたしもあたしだ。
「ちょっと!そんな言い方…」
美紅先輩に言い寄ろうとする
楓ちゃんの腕を掴んだ。
目で訴えてくる楓ちゃんに首をふり、
「あたし、
委員会の仕事があるから行くね?」
精一杯の笑顔を
楓ちゃんと先輩達に向け、
その場から走り去った。
委員会の仕事なんて嘘。