君に染まる(前編)


そう察し、
先輩に向けた顔を窓の外に向けた。



そこからは
後夜祭が行われてるグラウンドが見える。



楽しそうな生徒達。



…あたし、なにしてるんだろう。



みんなは楽しそうなのに、
あたしはあたしに飽きた先輩の横で
意味も分からずただ座ってるだけ。



本当は聞きたいの…
飽きられちゃった理由。



だけど、勇気が出ない…。



聞いて、
つらくなるようなことを言われたら?



そう思うと、怖くて聞けない…。



先輩はいつまで経っても
しゃべる気配は無く、
重く感じるこの空気に
思わず涙が溢れてきた。



沈黙の中で気付かれないよう
静かに涙を流していると、



ヒュ~~~~………ドーーーーン!!



あきらかに花火のあがる音が
聞こえてきた。



どうして花火が…?



そう思い顔を上げた瞬間、



「…っ」



先輩に引き寄せられ、
気付いた時には唇をふさがれていた。


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