君に染まる(前編)
「入学してすぐ噂になった4人はこの学校の名物らしくて学校敷地内に4人専用のVIPルームがあるみたい」
「VIPルーム?」
「ほら、あれ」
窓の外を指差す楓ちゃん。
楓ちゃんの指差す方向には講堂の横に建つ2階建で筒状のキレイな建物。
「この中でずば抜けてお金持ちなのは獅堂先輩だけで、芹澤家も西園寺家も他のⅢ類の生徒とあまり差は無いみたい。獅堂先輩と仲良いから結構特別扱いされてるだけ。まあ、3人とも存在感ありありだから隠れファンも何人かいるみたいね。獅堂先輩ほどではないけど」
そう言うと、楓ちゃんは手帳をパンッと閉じた。
「何か質問は?」
首を横に振る。
「じゃあ報告はここまで」
「それにしてもすごいね楓ちゃん。午前の間でこんなに調べるなんて」
「んなことより、これからどうすんの?」
「へ?」
「へ?…じゃないわよ。獅堂先輩に目つけられちゃってさ」
すらっとした長い足を組んで目を細める。