君に染まる(前編)
「…好きだ」
あたしのお願いも、
ちゃんと叶えてくれるから。
そのまま軽いキスを落とすと、
先輩はあたしを抱きしめた。
止まっていた先輩の鼓動が再び動き出す。
その音を感じながら先輩の背中に
ゆっくりと手を回した。
「…あたしも…好きです」
この抱きしめられた状態から
わざわざ顔を上げて伝えるほどの勇気は
まだあたしには無い。
だけど、さらに速くなった先輩の鼓動や、
「…ははっ」
小さく笑う声が聞こえるだけで、
先輩が満足してることが分かる。
だから…とりあえず、全部解決?