君に染まる(前編)
「そんなことないですよ。
花火があってこその…
あ…そういえば…
花火って誰があげたんですかね?」
少し気になってた。
生徒会はあげてないし、
結構本格的だった打ち上げ花火を
生徒が扱えるわけが無い。
地域でお祭りがあったり
花火をあげるようなイベントも無いはず。
なのに、どうして?
首をかしてげて考え込むあたしに、
先輩がきっぱりと言う。
「そんなの生徒会に決まってんだろ?」
「生徒会は花火なんてあげてませんよ?
というより…あげられないんです」
「どういうことだ?」
「昔は花火をあげてたらしいんですけど、
何年か前にトラブルがあったらしくて、
それから後夜祭での花火は
中止になったって聞きました」
委員会でそう説明されたし…
間違いはないと思う。
「それ…本当か?」
あたしの説明になぜか目を丸くする先輩。
「いや、でも…
未央にこんな嘘つく理由なんてねぇか」
「どうかしたんですか?
…花火をあげたのが生徒会じゃないと
何かまずいことでも?」
「まずいっつーか…
話が噛み合わねぇんだよ」