君に染まる(前編)


なのに、今のこの状況は一体…。



「おい未央。
休憩なんかしてねぇで次行くぞ」



ジェットコースターや絶叫マシン…。



さっきから休憩も無しに
乗りまくっている先輩。



完全に文科系のうえ、
こーいうアトラクションが苦手なあたしは
すでに足取りがふらふらなわけで…。



「あ、あの…少しは休憩…」



「何言ってんだよ。
今ジェットコースターすいてんだぞ」



「でもそれ…もう何回も乗りましたし…」



「いいんだよ別に。ほら、行くぞ」



ぐいっ



「あ…」



ベンチに座ってたあたしは、
いきなり腕を引っ張られたせいで
バランスを崩した。



「危ねっ!……大丈夫か?」



「あ、はい…ありがとうございます…」



転びそうになったあたしの体を
先輩が支えてくれる。



「お前、顔色悪いな…足取りも悪いし…」



「だ、だから休憩しようって…」



顔を覗いてくる先輩に
うつむきながらそう言う。


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