君に染まる(前編)
「そっかそっか…じゃあ成績トップ?」
…やっぱり聞いてない。
「あの…何か用ですか?」
どうしても抜け出せそうにないあたしは
諦めてそう聞いた。
「お前顔真っ赤。なに?恥ずかしいの?」
「質問してるんですけど…」
「心臓も超ばくばくじゃん」
そう言いながら
あたしの胸に手を当ててきた。
なっ!?
思わず離そうと腕を掴んだ時、
ガリッ
「…っ…」
あたしは先輩の腕を引っ掻いてしまった。
「あ…す、すいません!」
あたしを解放して腕をさする先輩に
すかさず謝る。
「てめぇ…1度ならず2度までも」
「すいません!本当にすいません!」
先輩が落としたフィルを拾い、
頭を下げながら
ちょっとずつ先輩から離れた。
「謝りながら遠ざかってんじゃねぇよ!」