君に染まる(前編)
「宝石…」
「まあ、仕方ないよ。
未央ってそーいうのうといもんね」
「…ホントに受け取って良かったのかな?
返した方がいいんじゃ…」
「何バカなこと言ってんの!
獅堂先輩が勝手にくれたんだから
黙って貰ってればいいの。
ってかそんなの先輩に失礼だよ」
「そうなんだけど…」
なんか…申し訳ないな…。
「ってかさ…
そのアルファベットの意味って
なんなんだろうね?」
「え?」
「だって、未央のイニシャルは"M"だよ?
なのに先輩のイニシャルがついてるなんて
すっごい意味深じゃない?」
確かに、そう言われてみれば…。
「あたしの予想だとー…
『俺はいつも側にいる』って感じ?」
「えー……?」
あの獅堂先輩が
そんなロマンチックなことするのかな…。
そう思いながら、
妙ににやにやしてる楓ちゃんに
首をかしげる。
「まあ、
本人に聞くのが一番手っ取り早いかな?」
そう言って、
いつのまにか到着していた
VIPルームの扉をノックした。