君に染まる(前編)
「こんにちはー」
扉を開けると同時に
元気よく入っていく楓ちゃん。
「お邪魔します…」
あたしはネックレスを手に握ったまま
ゆっくりと部屋に入った。
「あ、来た来た」
ソファーに座っていた美紅先輩は、
あたし達を見ると笑顔で近寄ってきて、
「楓ちゃーん」
美紅先輩が座っていたソファーの
反対のソファーに座っている卓先輩は、
楓ちゃんに手を振っている。
「…あの2人、ホントいい感じよね」
卓先輩に駆け寄る楓ちゃんを見ながら
美紅先輩が苦笑いを浮かべた。
…だから楓ちゃん、
あたしも行くって言ってたんだ…。
まあ、でも…
卓先輩って楓ちゃんのタイプに
ぴったりはまってるもんね…
仕方ないかも…。
「そういえば…
どうだった?昨日のデート」
部屋に上がるよううながしながら、
そう聞いてくる美紅先輩。
「え?」
「創吾は当然何も言わないからさ、
未央ちゃんから聞き出そうと思っ…
それ何?」