君に染まる(前編)
「えー?
まさか『俺はいつも側にいる』とか
考えてるんじゃないでしょうね、あいつ」
美紅先輩…楓ちゃんと同じこと…。
「あー、でも無いか?
あの男に"ロマン"なんて」
そう言って
けらけらと笑う美紅先輩とはうらはらに、
顔をしかめた優先輩。
「創吾にロマンがあるかは別として…
ネックレスは首輪だって思ってる
創吾だよ?」
え?
「は?首輪?何そのSMな響き」
「いつも言ってたんだ。
女からネックレス貰うたびに
『首輪みたいで嫌だ』って。
だからさ、このイニシャルの意味は…」
そう言うと、
優先輩はあたしを見てにこっと微笑んだ。
「『未央は俺のもの』?」
え…。
「もしくは…
『逃がさない』とか『ペット』とか?」
「ペ、ペット?」
「えー…それ最悪」
驚くあたしと一緒に、
美紅先輩が軽蔑のまなざしを
優先輩に向ける。
「でもさ、
創吾のネックレスにもついてるんだよね、
未央のイニシャル」