君に染まる(前編)


「でも後で」



手を掴まれ、唇をふさがれた。



驚いて離れようとするあたしを抱きかかえ
ベッドに運ぶ。



ベッドに下ろされたあたしは
先輩の手から逃れようと後ずさり。



けど、
枕に手が触れたと同時に背中が壁につき、
逃げ場を失った。



戸惑うあたしを壁と挟み撃ちにし、
先輩は再び唇をふさぐ。



おもむろにシャツの中に入ってきた手に
体がびくっと反応した。



こ、これって…。



頭をよぎった予感に、
キスだけでいっぱいになりながらも
必死で先輩の手を掴む。



「…何?」



「…や、やめて…ください」



「嫌なのかよ、俺とすんの」



不機嫌そうに顔をしかめる先輩に
慌てて顔を振る。



「そんなんじゃ…嫌とかじゃないです」



「じゃあなんだよ」



「だから…その…あの…
あ、あたし初めてで…」



「んなこと分かってる。
優しくしてやっから」


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