君に染まる(前編)
〔昼飯食ったら部屋に来い〕
お昼を済ませたあたしは、
先輩からのメールに従い
VIPルームにやって来た。
「おじゃまします…」
おそるおそる入った部屋には誰もいない。
先輩達、ご飯食べに行ったのかな?
そう思いながら部屋を見渡していると、
「未央?」
後ろから聞こえてきた声に振り返る。
そこには、
螺旋階段に座って猫を撫でる
優先輩の姿があった。
「どうしたの?創吾の呼び出し?」
…どうしてすぐ分かっちゃうんだろう。
先輩の勘の良さに驚きながらも
小さくうなずく。
「創吾なら2階だよ。たぶん寝てる」
「あ、ありがとうございます」
お礼を言って階段を上がろうとした時、
急に先輩に腕を掴まれた。
驚いて振り返ると、
にこっと笑ってあたしを見上げる。
「それって、キスマーク?」
「え?」