君に染まる(前編)


「…おはようございます」



照れ笑いを浮かべると、
先輩は体を起こして伸びをした。



「ああ…もう昼か…よく寝たなー…」



「昨日、夜遅かったんですか?」



先輩の腕から解放されたあたしは、
同じように体を起こす。



「やらなきゃいけねぇこと溜まってたから
一気に片付けてた。
お前の為に時間空けてたから暇だったし」



「あたしの為?」



なんだろう、と考えていると、
先輩が顔を覗きこんでくる。



「んなことより、今日はできんのか?」



「え?」



「覚悟決めてこいって言ったろ」



そう言うと、先輩はあたしを押し倒した。



………え?え?え!?



「昼休みは思った以上に短ぇんだ、
さっさと終わらせるぞ」



戸惑うあたしを気にもとめず、
ネクタイを緩めながら顔を近づけてくる。



「ちょ…ちょっと待ってください!!」



唇が重なる寸前、
あたしは先輩の顔を手で押し返した。



「ってぇ………何すんだよ」


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