君に染まる(前編)
今は感謝でいっぱいです!
周りに気付かれないよう
机の下で小さくガッツポーズ。
「質問が無いようなら
これで委員会を終わります」
植野先輩のその言葉で
一気に会議室が騒がしくなった。
「さっきは大丈夫だった?
何かされた?」
隣の席に座っていた野田くんが
嬉しそうに聞いてきた。
「逃げた人には教えない…」
「可愛い顔して結構きついこと言うね?
見た目からは想像出来ないな」
野田くんもね…。
心の中でそう呟き、
まだ絡んでくる野田くんは完全無視のまま
筆箱にシャーペンをしまっていると、
「未央ちゃん?」
名前を呼ばれ顔をあげた。
「やっぱり未央ちゃんだっ」
目が合った瞬間笑顔でそう言ったのは
植野先輩だった。
一気に体中に緊張がはしる。
「久しぶりだね」
「お、お、お久しぶりです!」
植野先輩の爽やかなあいさつに
慌てて立ち上がり頭をさげた。