君に染まる(前編)


その言葉に美紅先輩は小首をかしげる。



「んー…
問題児は問題児だけど…
イライラしたり不機嫌になると
学校の物を壊すってだけで、
人を傷つけたりはしないからね」



そ、それもどうかと思うけど…。



「後で冷静になった時に
壊したものの弁償もしてるみたいだし…
ま、不器用なだけで根はいい奴だから」



のほほんと話す美紅先輩に、
何度もうなずいて納得する楓ちゃんに、
なんだか納得しちゃいけない気がする
あたし。



獅堂先輩の話が一区切りついたとこで、
楓ちゃんが口を開いた。



「あ、そうだ。
あたし2人に報告があるんです」



「報告?」



「あたし…
卓先輩と付き合うことになりました!」



顔の横にピースを作って笑う楓ちゃんに、
あたしと先輩は苦笑い。



「あ…おめでとー…」



「良かったね」



そっけない態度のあたしと先輩に
楓ちゃんは顔をしかめた。



「あれ?どうして驚かないんですか?」



「驚くわけないでしょ?
ってか、あんなにラブラブで
まだ付き合ってなかったなんて…
そっちの方が驚きだわ」



美紅先輩の言葉にあたしもうなずく。


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