君に染まる(前編)
「まあ…とにかく良かったわね。
じゃあ、明日のたっくんの誕生日は
2人で過ごすの?」
「はい。
あ、でも、
まだプレゼント用意出来てなくて…
後で選ぶの付き合ってもらえませんか?」
顔の前で手を合わせた楓ちゃんが
あたしと先輩に視線をうつす。
「おっけー。
たっくんのことならあたしに任せて」
「うん、いいよ」
「本当?ありがとうございます!」
机に頭がつくぐらい
大げさに礼をした楓ちゃん。
そんな楓ちゃんに笑いながら
ストローを口にくわえた。
卓先輩の誕生日って明日なんだ…。
獅堂先輩はいつなんだろう?
そんなことを考えていると、
突然美紅先輩が「あ」と声をあげた。
「そういえば…創吾も来月誕生日よね」
「え、そうなんですか?」
「あれ、知らなかった?
あいつそういう大事なこと
自分から言わないからな…
でも、彼女にぐらい言いなさいよ…」
眉間にしわを寄せ舌打ちをした美紅先輩。
「プレゼントどうしよう…
獅堂先輩お金持ちだから
きっと欲しい物なんて無いですよね?」