君に染まる(前編)


「未央ちゃんがくれる物なら
なんでも嬉しいんじゃない?」



「けど、あたしの買える金額の物で
獅堂先輩に喜んでもらえるかどうか…」



しゅんと肩を落とすと、
美紅先輩がにやにやしながら
顔を覗きこんできた。



「じゃあさ…
未央ちゃんをプレゼントしてあげたら?」



「え?」



「来月は付き合い始めて3ヶ月目でしょ?
さすがにそこまで待たせるのは
創吾がかわいそうだし…
それは未央ちゃんにしか
出来ないプレゼントだと思うしね」



で、でも、それって…。



「でも、そーなると、
未央から誘うってことですよね?」



あたしが思っていたことを
楓ちゃんが口にする。



「あたしや美紅先輩ならともかく、
未央が自分から誘えるかどうか…」



「そんなの気合よ、気合!」



「き、気合?」



「そうですね…
未央、押し倒す勢いでいっちゃいな?」



美紅先輩の迫力につられるように
楓ちゃんまでそんなことを言ってくる。



「でも、あたしそんなこと…」



肩をすくめてそう言った瞬間、
ペシッ!といういい音が響いた。


< 266 / 337 >

この作品をシェア

pagetop