君に染まる(前編)
「俺お邪魔みたいなんで、失礼しまーす」
野田くんはそう言うと
ファイルを持って会議室から出て行った。
「未央ちゃんもここ受験したんだ?」
「え?あ、はい!」
嬉しい…
先輩から声かけてきてくれるなんて。
「うわぁ、懐かしいな~。
未央ちゃん全然変わってないね?」
「そ、そうですかね?」
「うん、全然変わってない。
その挙動不審なとことか特に」
くすくす笑ってる先輩。
「でも可愛くなったね、未央ちゃん」
「え?」
「髪も伸びたし…大人っぽくなった」
「そ、そうですか?」
「ははっ、顔赤いよ?大丈夫?」
「え、あ…」
慌ててほっぺに手をあてる。
だって…そんなこと言われたら…。
「会長、ちょっといいですか?」
「ああ、今行く。じゃあまた今度」