君に染まる(前編)
あたしをかついだまま歩き出す先輩。
「…どこ行くんですか?」
「黙れ」
黙れって…。
「あの…恥ずかしいんで
降ろしてもらえません…?」
周りの生徒が
みんなあたしのこと見てる…。
「今度は何するつもりだ?」
「え?」
「これ以上俺の体傷つけたら
ただじゃおかねぇぞ」
「あれはわざとじゃ…」
そう言いかけて少し体を起こした時、
目に入ってきた講堂。
待って…まさか…。
そう思い視線を前に向ける。
先輩が向かっているのは
あきらかにあのVIPルーム。
やだ…。
“あんなことやこんなこと…”
絶対にやだ!
「お願いです!降ろしてください!!」
「ってぇ!叩くなよ!」