君に染まる(前編)


あたしをかついだまま歩き出す先輩。



「…どこ行くんですか?」



「黙れ」



黙れって…。



「あの…恥ずかしいんで
降ろしてもらえません…?」



周りの生徒が
みんなあたしのこと見てる…。



「今度は何するつもりだ?」



「え?」



「これ以上俺の体傷つけたら
ただじゃおかねぇぞ」



「あれはわざとじゃ…」



そう言いかけて少し体を起こした時、
目に入ってきた講堂。



待って…まさか…。



そう思い視線を前に向ける。



先輩が向かっているのは
あきらかにあのVIPルーム。



やだ…。



“あんなことやこんなこと…”



絶対にやだ!



「お願いです!降ろしてください!!」



「ってぇ!叩くなよ!」


< 29 / 337 >

この作品をシェア

pagetop