君に染まる(前編)
いつから?いつまで?
もしかして…ずっと?
あ、でも…
たまに見てただけかもしれないし…
携帯だってたまたまここに
置いただけかも…。
そんなことを考えていると、
さっきまで見つめていた
バスルームの扉が開いた。
タオルで髪を拭きながら出てきた先輩は、
「なんだ、まだいたのか…」
あたしを見るなり冷たくそう言う。
そんな先輩の態度に
何も言えないでいると、
手にしていた先輩の携帯が
突然鳴りだした。
「わっ…」
思わずびくっとしたあたしに
先輩が慌てて駆け寄ってくる。
「なっ!?おまっ…なんで俺の携帯!」
あたしから携帯を奪うと
チラッとあたしを見て背を向けた先輩。
「あの…どうしてメール…」
「……勝手に見んなよ」
「……すいません…」
こっちを向いてくれない先輩に
謝る声が小さくなる。
…帰った方がいい…よね。