君に染まる(前編)
「どうして、そんなこと…」
〔お前、俺のどこが好きなわけ?〕
さっき見た未送信メール…
あれと何か関係があるのかな。
そう思いながら先輩を見つめていると
先輩はバッと視線をそらし、
「お前、今までの俺のこと知ってるか?」
少し離れた場所に座りなおした。
「…今までの先輩、ですか?」
よく分からず聞き返すと、
睨むような視線を向けられた。
「女のこと」
「え?あ……な、なんとなくは…」
「…まあどうせ、
噂か美紅から聞いたかのどっちかだろ?」
小さくうなずくと、
何かを決心したような顔付きで
先輩は話し始めた。
「俺、未央に会う前…つーか、惚れる前?
ほぼ毎日、女と遊んでたんだ。
星条の生徒に他校生。
遊んだ女の知り合いとかいう女。
友達の友達のなんの接点もねぇ女とか。
でもまあ、俺だって男だし。
…誘われて悪い気しねぇし。
お互いにいい思いするんならって、
よっぽど好みじゃねぇ女以外は
全員受け入れてた。
…大体は香水がキツくて
無駄に肌さらしてるような奴
ばっかりだったけどな」
「それってつまり…
そういう女の人が好みってことですか?」
「ちげぇよバカ」