君に染まる(前編)


謝ることしか出来ない。



そのまま先輩の胸にうずくまって
黙っていると、
さっきとは違う優しい声が聞こえてきた。



「…まあ、でも?
分かってるから別にいいんだけど」



「…………分かってる?」



先輩を見上げたあたしに
口元をゆるめて笑いかける。



「メールも電話も、会いたいも寂しいも…
要するに恥ずかしいんだろ?」



自信満々な先輩の言葉に
再び視線を泳がせる。



き…気付かれてたんだ…。



「恥ずかしいから…できないし言えない。
未央らしいっちゃあ未央らしいよな」



バカにしたようにそう言われ、
恥ずかしくなって視線を下げた。



「でも…そういうとこがいいんだよな」



…え?



呟くようなその言葉に顔を上げた瞬間、
先輩の顔が近付いてきた。



そのまま唇が重なりそうになる。



……あ。



「…やっ」



思わず顔をそらしたあたしは、
ハッとして顔を戻した。


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