君に染まる(前編)


そこには思った通りの不機嫌な顔で…。



「…は?」



ものすごーく不機嫌な顔で…。



「何?意味分かんねぇんだけど」



今にもキレだしそうな先輩。



「ご、ごめんなさい」



「謝られても分かんねぇから。
どーいうことだよ」



不機嫌ではあるものの、
理由を聞こうとしてくれている先輩に
少しホッとする。



「あの…
普通こういうことは聞かないことだって
分かってるんですけど…」



「ああ。それで?」



「……この流れって、つまり…
そういうこと…なんですか?」



「……は?」



意味が分からないのか
ポカーンとする先輩。



「だ、だから……このまま……その……」



そう言いながら、
ゆっくりと視線をうつした。



今、あたしと先輩が座ってる…
大きなベッドに…。



少し見つめてから視線を戻す。



先輩はベッドを見つめたまま
顔をしかめていたけど、
次の瞬間にはハッとして
あたしを見つめた。


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