君に染まる(前編)
"Lovers"〓創吾side
眠っていた俺は、
腕の中で何かが動くのを感じた。
ゆっくり目を開くと、
困り果てた顔の未央が
俺の腕の中で暴れてる。
「…何してんだよ」
完全に目が覚めていないせいか
声がかすれる。
小さな俺の声にびくっと反応した未央は、
目を合わせると急に顔を赤らめた。
「……お、おはようございます」
そう言いながら慌てて布団に潜りこみ、
顔だけをちょこっと出す。
その行動の意味にすぐ気付き、
思わず顔がほころぶ。
「何暴れてんの?」
「え?あ……ぬ、抜け出せなくて…」
布団の中で俺の腕を押しのける。
「もう暗いですし、
そろそろ帰らないと…」
「帰んの?」
「え?きゃっ…」
腕の力を強め未央を引き寄せた。
「明日は休みなんだし、泊まってけよ」
「泊まっ!?……え、遠慮しときます」
「嫌か、俺と一緒にいるの…」