君に染まる(前編)
「何々?」
「なんの騒ぎ?」
そこへ入ってきた西園寺先輩達。
「この子例の子」
「あ、舌の子?」
「うるせぇ美紅」
「なんか嫌がってない?
創吾くん拒否られてるの?」
「黙れ卓」
「創吾が拒否られるって珍しいよね」
「殺すぞ優…てめぇらとっとと出てけ!」
「もー、短気なんだから。
冗談でもそんなこと言ったらダメだよ?」
「たっくんの言う通り。
ってか、この子嫌がってるでしょ?
ほらどきなっ」
そう言いながら獅堂先輩に蹴りを入れ、
あたしを助けてくれた美紅先輩。
「大丈夫?怖かったでしょ?」
がっちり掴まれていた腕をさすりながら
あたしの顔を覗き込む。
「こんな細い腕…
真っ赤になるほど掴んでるなんて
ひどい先輩だね?」
「おい美紅、今なんつった?」
「加減ってものを学べって言ってんの」