君に染まる(前編)
携帯を気にする未央を
ベッドに引き寄せた。
それでもベッドに入ろうとしない未央は
その場にしゃがみこんだまま。
そこまで恥ずかしがられると
逆にスイッチ入る…。
そうは思ったけど、
「…なあ、未央」
「は…はい?」
「お前ってさ、なんで俺に敬語使うの?」
話題を変えた。
「気になってたんだよなー…
名前も呼び捨てじゃなくて
“獅堂先輩”だし」
「だって…年上の人ですし…
先輩ですし…」
「けど、その前に彼氏だろ。
お前が礼儀正しいのは分かるけど
彼氏に敬語っておかしくね?」
「そうですか?でも今さら…」
「タメ口きいてみ?」
「え…い、今ですか?」
「ん、今」
ベッドの脇で固まる未央に顔を近付ける。
「俺のこと好き?」
「な、な、なんですか!?」