君に染まる(前編)
「黙れ、俺より偏差値低いくせに」
「頭は良くても行動がバカなの!」
「んだと!?」
あたしの目の前で睨み合う2人。
「あの…喧嘩はやめてください…」
「大丈夫、いつものことだから」
そう言いうと
いつのまにか用意していた濡れタオルを
あたしに差し出してくれた芹澤先輩。
「ありがとうございます…」
受け取ったあたしは
獅堂先輩に捕まれ赤くなった腕にあてた。
「ね、君名前は?」
あたしの前に座って
笑顔でそう聞いてきたのは西園寺卓先輩。
「百瀬未央です…」
「僕西園寺卓、卓って呼んで」
「はぁ…えっと、卓先輩」
「未央ちゃんって
どんな男の子がタイプなの?」
「え?」
「創吾くんにキスされて舌噛んだのって
嫌だったってことでしょ?
創吾くんを拒否る子なんて
初めて見たからさ」
「タイプって言われても…」