君に染まる(前編)





植野先輩は私の中学の先輩で、その時も生徒会長だった。



初めて先輩と出会ったのは中1の時。

押しに弱い私はクラスで成績トップという理由だけで女子の学級委員長に選ばれた。

その時の最初の委員会で植野先輩に出会った。



成績優秀、スポーツ万能。

おまけに顔もいい先輩は中学の時からみんなの憧れで狙ってる女の子も多かった。



最初はただ憧れていただけだったし特に接点のない私と先輩はただの委員長と生徒会長だった。




ある日、委員会が終わった放課後。


通りかかった音楽室のドアが開いているのに気付き気になって中を覗くと綺麗なグランドピアノが目に入った。

小さい頃からピアノが大好きで今でもレッスンに通っている私は無意識のうちにピアノを弾いていた。



そこへたまたま通りかかった植野先輩が教室に入ってきた。



驚いて思わずその場から立ち去ろうとしたけど、「もっと聞かせて?」と頼まれ戸惑いながらもピアノを弾いた。


それから何度かピアノを弾いて欲しいと頼まれ放課後に2人で音楽室で会う日々は続いた。



勉強に生徒会長にと毎日忙しい先輩が私のピアノで癒されるんだと。

嬉しくて頼まれるがまま先輩の為にピアノを弾いた。




そんな日々が半年続いた。

けど、受験生だった先輩は秋には生徒会長から引退。



委員会に出ることはなくなり、もちろん私のピアノの出番もなくなった。





そして、卒業式の日。

志望通り星条学園進学コースに受かった先輩がくれた言葉。




「未央ちゃんも星条においでよ。待ってるから」




その一言で星条の進学コースを受験することに決めた私はひたすら猛勉強。



けど、星条の進学コースは難関で有名。



さすがに合格は無理だった。


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