君に染まる(前編)
忘れてた…獅堂先輩がいたこと。
あ、でも…
植野先輩とデートできるのって
獅堂先輩のおかげ?
なに考えてたのか分からないけど
一応お礼言っといた方がいいのかな?
「お前さ…」
「ありがとうございます」
軽く頭を下げた。
「…は?何が?」
笑顔を向けるあたしに
先輩は顔をしかめた。
――――日曜日
待ち合わせの駅に着いたあたしは
辺りを見渡して先輩を探す。
先輩、まだ来てないみたい。
早く来すぎちゃったかな?
とりあえず
改札口の近くで待つことにした。
行き交う人を眺めているうちに
緊張が増していく。
じっとしてるのが落ち着かなくなり
バッグから鏡を取り出した。
…メイク、変じゃないかな?