君に染まる(前編)
「お願いしま…」
「いいけど?」
さらっとそう言った先輩。
「え?」
「だから、
帰ってやってもいいっつてんだよ」
「本当ですか?」
「キスしてくれたらな」
………。
「は?」
「お前が俺にキスしたら帰ってやるよ」
「い…嫌です!」
「じゃあやだ」
な、なんなのこの人!?
「お願いですから帰ってください!」
「やだ」
あたしの目の前から動こうとしない先輩。
「早くしないとあいつ来ちまうぞ?」
にやっと笑いながらあたしの唇を触る。
こ、こうなったら…。
がしっ