君に染まる(前編)
なぜか芹澤先輩も一緒に…。
「どうかした?」
フォークを口の前で止め
あたしの顔を覗きこんでくる植野先輩。
「あ、なんでもないです…」
ちょうどあたしの席から見える
獅堂先輩逹から目をそらし、
パスタをフォークで巻いた。
結局…
その後も行く先行く先に
獅堂先輩は現れた。
うまく植野先輩に気づかれないよう
あたしにちょっかいを出してくる。
そのせいで植野先輩とのデートは
まったく楽しめず終わってしまった。
「やっぱり変だよ。なにかあった?」
終始あたしのことを
気にしてくれてる植野先輩。
「大丈夫です」
「そう?ならいいけど…
あ、家こっちで合ってる?」
知らない道なのか歩く方向を指さす。
「あ、はい…あ…
やっぱりもうここでいいです。
家すぐそこなんで」
「すぐそこなら送ってくよ」