君に染まる(前編)


なぜか芹澤先輩も一緒に…。



「どうかした?」



フォークを口の前で止め
あたしの顔を覗きこんでくる植野先輩。



「あ、なんでもないです…」



ちょうどあたしの席から見える
獅堂先輩逹から目をそらし、
パスタをフォークで巻いた。










結局…
その後も行く先行く先に
獅堂先輩は現れた。



うまく植野先輩に気づかれないよう
あたしにちょっかいを出してくる。



そのせいで植野先輩とのデートは
まったく楽しめず終わってしまった。



「やっぱり変だよ。なにかあった?」



終始あたしのことを
気にしてくれてる植野先輩。



「大丈夫です」



「そう?ならいいけど…
あ、家こっちで合ってる?」



知らない道なのか歩く方向を指さす。



「あ、はい…あ…
やっぱりもうここでいいです。
家すぐそこなんで」



「すぐそこなら送ってくよ」


< 55 / 337 >

この作品をシェア

pagetop