君に染まる(前編)


「…は?」



「おもしろ半分で
あたしのことからかうのは
やめて欲しいんです。
昨日だって邪魔されて…
はっきり言って…迷惑なんです」



手の震えを抑えながら
真剣にそう言った。



あたしを見下ろす先輩は
あたしが緊張していることも
見透かしたような目で見つめてくる。



スッと視線をそらした先輩。



「…ムカつく」



そう呟いたかと思うと、
急に腕を引っ張られた。



部屋の中に入れられると、
そのまますごい勢いで
ベッドに投げられた。



ベッドに倒れこんだあたしに
先輩がかぶさるようにまたがってくる。



「やっ…」



必死に体を押し返すけどびくともしない。



顔が近づいてくる。



「や…やだ…」



ぎゅっと目を閉じて顔をそらした瞬間、



ドンッ!!!!



あたしの顔のすぐ側で
先輩がベッドを力いっぱい叩いた。



「俺の方がいい男だろ!!!!」


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