君に染まる(前編)
……………。
「……え?」
ぽかんとするあたし。
「なんで俺のキスは拒んで
あんな奴のキスは受け入れんだよ!」
「あの…」
「いいか!?
あいつはお前の思ってるような
奴じゃねぇ!!」
「そ、そんなことありませんっ」
「お前はだまされてんだ!!」
「違います!離し…」
パリーーーーーーンッ!!!!
突然部屋中に響いたその音に
あたしは動きを止めた。
側にあった置物を
先輩が窓に向かって投げつけたんだ。
「…俺は嘘なんかつかねぇ。
傷つくのはお前だからな」
驚きすぎて声が出ないあたしから
離れる先輩。
あたしはベッドから降りて
急いで部屋を出た。
「未央ちゃん!」
螺旋階段を降りていると、
美紅先輩と卓先輩が上がってきた。
「大丈夫?ケガしてない?」