君に染まる(前編)
「……だ…いじょうぶ…です…」
震えるあたしの手を握った美紅先輩は、
「ごめんね?怖かったでしょ?」
申し訳なさそうにそう言った。
「創吾、イライラしたらよく窓割るのよ」
「…え?」
「物に当たるんだよ、投げたり壊したり。
まぁ人に当たらないのがえらいとこ…」
ガッシャーーーーーンッ!!!
卓先輩が話している途中に
また何かが割れる音が聞こえてきた。
「あー…
しばらくそっとしといた方がいいわね」
「そうだね…
未央ちゃんはもう教室行きな?」
「…はい…失礼します」
2人に頭を下げてVIPルームから出た。
………怖かった。
今でも震えが止まらない。
やっぱりあの先輩とは
もう関わらない方がいい…。
そう思いながら
教室へ向かおうと歩き出した時、
「…あれ?」