君に染まる(前編)


部活の朝練が終わった生徒で溢れる中、
校舎とは反対方向にある講堂の裏へ
歩いていく人。



…植野先輩?



ときどき後ろを振り返りながら
裏庭の奥へ進んでいく。



もうすぐHRが始まるのに
何してるんだろう…。



気になったあたしは
見つからないように後をつけた。



着いた場所は古い倉庫。



植野先輩が扉を開けると
そこから出てきたのは
Ⅰ類の3年生だった。



「遅~い」



携帯をいじっていた女の人は
そう言うと先輩に抱きついた。



「悪い。先生に呼ばれてた」



初めて聞く先輩の低い声。



「もう!…HRさぼってくれるよね?」



「分かってるよ、先生には言ってある…」



ネクタイを緩めながらそう言った先輩は
女の人にキスをした。



「ん…あっ…」



先輩のキスに甘い声を出す女の人。



キスをしながら倒れるように
倉庫の中へ入っていく2人。


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