君に染まる(前編)
獅堂創吾。
獅堂財閥の御曹司である俺は完璧な男。
成績は常にトップクラスでスポーツ万能。
完璧な容姿にたいていの女は一目惚れ。
そんな俺にキスされれば
どんな女だって喜ばしいことなのに
この女ときたら…。
「あはははは!!
創吾くん、キスして舌噛まれたの?」
「そ、それ最高…ぷっ…まじうける…
創吾…拒否られたんだ?」
部屋に帰るなり
一部始終を見ていた優が言いふらし、
大笑いの卓と美紅。
小等部からのツレである
優と卓と美紅とのたまり場が欲しくて
作らせた部屋。
学校にいるほとんどの時間を
過ごすこの部屋は、
生徒の間でVIPルームと呼ばれている。
「ねぇねぇ、どんな子なの?」
「うーん…なんか真面目そうな子。
Ⅰ類の新入生だった」
「僕、会ってみたいな~」
「いつか会えるよ。
近いうち創吾が連れてくるから」
「おい美紅、なんでそう決めつけてんだ」