君に染まる(前編)


「別にいいだろ、ほっとけ」



卓をベッドルームから追い出して
また窓際に座った。



そわそわ…俺そわそわしてんのか?



ただ外眺めてるだけだろ。



…ってか、遅ぇ。



“放課後に…なにかお詫びしますから…”



自分からあんなこと言っといて
俺を待たせるなんて…。



何度も時計を見ながら
だんだんイライラしだした時、
部屋の入り口の前にあの女を見つけた。



声をかけて中に入るよううながすと、



「ごめんなさい!!」



勢いよく頭を下げて
講堂の裏の方へ走っていった。



は!?



意味が分からず、
俺は部屋から飛び出して女を追いかけた。



女を見つけたのは
裏庭の奥にある倉庫の前。



この倉庫は
会長が隠れて女と会ってるとこだ。



…やっと会長の正体に気付いたらしい。



まあさすがに、
倉庫の中でイチャついてるとこ見たら
嫌でも受け入れなくちゃならねぇだろ。


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