君に染まる(前編)
残された俺は
頬を叩かれて呆然としてる会長に
一発パンチ。
「自業自得だよ、バーカ」
吐き捨てるようにそう言って
女を追いかけた。
見つけた時、
女はしゃがみこんで泣いていた。
…変な女。
見るからに大人しそうなのに
男にビンタするなんてな。
けど…かっこいいじゃん?
そういうの嫌いじゃねぇ…。
「………あ゛」
しばらく泣いていた女は
そうもらすとかばんの中を探り出した。
「あの、これ…」
かばんの中から出してきたのは
Ⅰ類の売店で売られてるパン。
「なんだこれ」
「お詫びです…舌と腕の…」
お詫び…。
パンを受け取った俺は肩を落として
わざとらしいほどの
でかいため息をついた。