涙の音

部屋に入ると机いっぱいに広げられた楽譜、白紙、そして色鉛筆や文具が散乱していた。

「片付けとけよ」


一言かけると上着を脱いで、倒れ込むようにベッドに入った。


「寝るの~」


「あぁ。お休み」


リビングとベッドに置いてある部屋とは向かいにある。


ドアを開けたままにして、話した。


「なんで~曲考えようよ~衣装は~」


「………ったく」


曲の事は任せられるが衣装となると。かなりセンスが悪い奈未には任せられなかった。


いや、普通にみたらきっと…変に派手と言うか。カジュアルなのはカジュアルなのだが、古着で固めた感じの…


まぁ、複雑だが軽く言うと裏原カジュアル…とでも言えば通じるだろうか?


とにかく僕の趣味でもなければ好みでもないので、飛び起きて奈未に待ったをかけた。



「衣装は、考えるな」


「なんでよ~」


「…普通にさ、エムフルを知ってもらう為にグッズTシャツを作らないか??」


「えー…インパクト0」


「…あのなぁインパクトじゃなくて宣伝として考えろよ」


何を期待していたのかわからないが、頬を膨らました。


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