涙の音
立ち上がったその瞬間、奈未が倒れた。
目の前で倒れる彼女を支える事も叫ぶ事もできなかった。
―バタン‐……
床に大きな音が響き渡る。
「奈…未?」
奈未に近づき、身体を揺すり起こそうとした。
「お…い…奈未…奈未っ」
咄嗟に
自分の携帯を取り出して、救急車を呼んだ
救急車に状態と場所を説明し数分で到着した。
「高山さん、聞こえますか?」
隊員が声をかけ、反応はないが呼吸はある事を確認し二人で奈未を運んだ。
救急車の中で、声をかける事なくただ呆然と座り呼吸マスクをつけられた奈未の顔をみていた。
病院につくと、看護婦さん達が駆け寄ってきて診察室にうつされた。
病院のロビーの椅子に腰が抜けたように座る。
しばらくしてマネージャーがたどり着いた。
「状態は?大丈夫なの?」
「……わからない。呼吸はしてるって」
「そう…心配ね」
すると診察室から看護婦さんが出てきた。
「あの。高山奈未は…」
「今、診察と治療が終わりました。部屋に先生がいますので。どうぞ」
そう言われて、入っていく。
呼吸マスクは外され点滴をして眠っていた。