涙の音
奈未の家の前につくと、僕の手を掴んだ。
「ちょっと。」
「何?」
「話があるの」
「……」
マネージャーは見てみぬふりをして僕たちを降ろすとそのまま車を出した。
「おい…奈未?」
「…」
手を引っ張られながら、部屋へ入っていく。
「…嘘…ついてない?」
「…なんのこと?」
「本当に栄養剤なの?」
「…」
「検査結果も簡単にしか聞いてないし…。栄養剤じゃなくて、薬なんじゃないの?」
「…」
「私に知る権利はあるでしょ?!おかしいよ…心配したり薬くれたり…」
―限界…か。
そう思って、口を開いた。
「ごめん。本当の検査結果を知ってる。でも、それを聞いた所で今後の活動もあるし。心配だったから…」
「何それ…そんな…まるで…悪い検査結果だったような言い方」
「違うよ。……リハビリと治療をしていけば治る病気でさ…」
「……検査結果は?教えてよっ」
奈未の目には、涙が溢れていた。
目を強く瞑り口を開く。
「…聴覚の病気で、悪化すれば聞こえなくなる可能性があるって」
その結果を伝えた瞬間、奈未は腰が抜けたように座った。