涙の音
number4 隣にいる存在
「やったわよっ!!」
マネージャーからの電話に出ると突然そう言われた。
「CD、オリコンランキングトップテン入り!
初登場…なんと八位!!」
「本当ですかっ!…でも先に奈未に言った方が…」
「それが、電話でさっき伝えたら『そうですか』って一言だけでね…何かあったのかしら?」
「あ…いえ。奈未を連れて事務所に向かいますね」
「はーい。待ってるよ!お願いしまーす」
そう言って準備をすると奈未の家へ向かった。
―ピンポーン…
「はい…」
「奈未?雪斗だけど開けてくれる?」
―ガチャ…
ドアがゆっくり開いた。
奈未の顔を見ると一睡もしていなく、一晩中泣いていたような目のクマと赤く腫れていた。
「…奈未」
「…オリコンランキングトップテン入りは聞いたよ。今準備するから…」
「なぁ、奈未。」
そう言って奈未の腕を掴む
「まだ、そうなるって決まったわけじゃないし。治療もしてないだろ?諦めた顔するなよ」
「うん」
元気のない返事をする。
「着替えてくる」
そう言って部屋へ入っていった。
強く言えない自分自身が情けなかった。
一度 嘘をつこうと決心してしまった罪悪感からだった。