涙の音


「…お待たせ…行こうか」


「奈未っいい加減にしろよっ」


奈未の腕を掴んで大声で怒鳴った。


「…わかってるよぉでも…どうしても先の事を考えてしまうんだもんっっ」


「…うん。そんなのわかってるよ?だけどさ、そんな風に思ってると悪くなる一方だろ?頼むから全力つくそうよ。確実に僕たち成功してるんだから。」


「………そうだね…そうだよね……頑張るよ」

「何かあった時は僕も力になるからさ?」


「うんっ」


そう交わして事務所へ向かった。


少し元気を出した奈未にマネージャーは状況を理解した。


「オリコンランキングトップテン入りで、まだ出てない音楽番組からのオファーもきてるのよ!」


「本当…ですか」


現実を噛み締めるように奈未が言う


「ええ。何人か一般の方からの問い合わせもあったり、検索が殺到したからWebサイトも急遽作って……あっ、二人には後程ブログ更新とか何らかの形で参加してもらう事になるわ。………あと、新曲の方も作ってもらうわよ。」


「あっ…でもその前に、マネージャー。奈未のリハビリ………」


「いいの!取り敢えず薬治療で今は、自分のできる事を専念したい。」


「………わかったよ」


「それとお二人さん!新曲2、3枚出した後アルバムを作ってワンマンライブの企画も出てるから、まずは新曲を頼んだわよ!」


「ライブ…ライブ出来るんですかっ!?」


「えぇ。上からの支持でね。」


「やったぁ…」


奈未が小さなガッツポーズをして笑った。


「ようやく笑ったわね~じゃ、お二人さんよろしくね!」


『はいっ!!』


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