涙の音
手こずる様子を眺めるのも飽きて彼女の隣にストンと座り、ギターを横取りして楽譜にミニライトを照らし読んでいく。


一通り読んで、だいたいな感じでコードを押さえながら弾いていく。


「~~~~♪」


メロディーが次第にハッキリとして見えてくる。


「~~~~♪」


ワンメロを弾くともう一度振り出しに戻り最初から本格的に弾いた。


「あっ、そうか!!」


思い付いたように歌詞を書き始める。


「そうか、見えてきた!!さすがだね!」


「僕は天才だから。」


「また~褒めたら調子にのるんだから」


そんなやり取りをしながらワンメロを完成させて。徐々に一曲が出来ていく。


かなり部屋は暗くなって。
街の明かりの明るさだけが部屋を灯す。


「出来た!」


そう言うとスッと立ち上がりスタスタと電気を付けに行った。


パッと急な明るさに目が眩む。
少しずつ目を開け馴染ませると、かなり肩が張っている。
それに目もかなり疲れていた。


「完成!完成!早速持ってくか!!」


「あのな~少しは休ませろよ。」


「なによ~3時間も寝てたくせに。」


彼女に言われて初めて気付く。
余り、長く寝ていないような感覚でいた。
僕からすれば1時間も取れたか…ぐらいだと思っていた。


まぁ、それほど熟睡していたのだろうが。


たったの30分の休憩。


僕にその休憩はなく。着替えたり顔を洗ったり。結果的にドタバタで部屋を出た。


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