涙の音
事務所は10階建ての細型な建物。

大手の事務所ではないが、そこそこのヒット曲や売れたアーティスト、インディーズを抱える事務所。

地下にある駐車場に入り、車を止めてエレベーターで向かう。

僕たちのマネージャーがいるのは5階。

と言っても、地下駐車場のエレベーターから一階のロビーまで乗ると乗り換えになる。

テレビ局や事務所ならよくある事。

事務所の中に入るさいに、IDカードを通さなくてくてはならないからである。

IDカードを通し、ロビーからのエレベーターでマネージャーのいる5階に向かう。

「また、ダメ出しあるかな~」

「まぁ、一発ではあまり通らないだろ」



そんな事をエレベーターの中で呟く。


大概、マネージャーだけと言うかマネージャーが決めるわけでもないが。他のCD制作に関わる人たちの…

所謂“アドバイス”を貰って、多少曲を変えたり、イメージにそって付け加えたりしてレコーディングに入る。

と。5階についてすぐにある某一室に担当マネージャーの席がある。


外見からみればなんとなくカリカリしてそうなマネージャー。名前は瀬川コトミ(せがわことみ)

「失礼します…コトミ、マネージャー。」


一声かけて言い寄る。
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