不器用な指先
どうやって自分が喪服に着替えたのか覚えていない。

どうやって此処に来たのか

どうやって貴方の家に

貴方のお葬式に来たのかは覚えていない。

一番新しい記憶と言えば
貴方のお母さんから

貴方が死んだと

電話があったこと。


交通事故で即死だと

電話があったこと。


その瞬間から

私の中の時間は止まっている。

時間という概念が消えている。

見ているものが

聞いているものが

全てが虚構に思われて

何が本当で

何が起こっていて

どうして貴方がいないのか


微かに残った理性が知ろうとするのに

私の本能が拒絶する。



だって

貴方が死んだのは

私のせいなんだもの…


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