不器用な指先
『………っ』
ドク…ン…ッ
近づいた深い瞳に…
心臓が一際大きな音を立てる。
彼の顔と広い肩幅が作り出す影で、私の視界は真っ暗になった。
いくら年下だとは言え、その身体は私を包み込んでしまう…
幼さの残る表情から紡ぎ出される闇の中で
私の中の時間が止まる。
ポケットの上で重なった手。
透がいつも繋いでくれていた手に
さっき会ったばかりの知らない少年の手が重なっている…
大きくて…力強い手…
直に心臓を掴まれたかのように熱い…
禁断の中で脈打つ心臓と
透に対する小さな優越感…
触れたままの手を解くどころか
真っ直ぐにぶつかった視線すら
そらすことが出来なかった。