不器用な指先
『え~マジで~?』
『はい、後で折り返しお電話致しますので…』
『この後どこ行く~?』
『じゃあまた明日ね~』
私たちの前を
たくさんの言葉が通り過ぎる。
すぐ目の前を通っているはずなのに、私たちと通り過ぎていく人たちの間には
まるで次元を異にする
透明な壁でも存在しているかのようだった。
身体の機能が鈍る。
なのに、拍動だけがむやみやたらに速い。
こんな不思議な感覚は
初めて
だった。