不器用な指先
――――――
シャワーのお湯が私の身体に絡み付く。
何のために私はいまシャワーを浴びている?
何のために此処にいる?
自問する度に、胸の奥でドクンドクン…と罪の音が響く。
ふと濡れた身体を自分の両の手で締め付けた。
透が…褒めてくれた…
この身体を…
『…実冬の肌って本当に白いよな…。冬って名前入ると、雪みたいに白い肌になるのかもしれないね』
『じゃあ、私と透に女の子が生まれたら、冬って名前の中にいれようよ!』
『クスクス…実冬みたいにちゃんと冬に生まれなかったらどうするの?』
『冬に生まれるまでたくさん子供作るっ!ねっ?』
『あぁ…実冬がいて…俺たちのたくさんの子供がいて……幸せ…だろうな…』
…透……っ
私…
…いいの…?こんなことしてて…
いいの…?透を…
あんなに優しかった透を裏切って…
『その日は会社に行かなくちゃならないんだ。仕事終わったらすぐ電話するから。』
…違う…
先に…
先に裏切ったのは……っ
私はシャワーを止めて、大きく息を吸い込んだ。
私は間違ってなんかない。
私は悪くない。
むしろこうしなくちゃ
こうでもしなくちゃ
辛いのは
惨めなのは私だけになってしまう…