不器用な指先
私はその手を止めて尋ねる。
『……なに?』
響の視線は、またもや私の向こうに落とされた物に向けられていた。
『なんかランプの色変わった』
『ランプ…?』
振り向いて携帯に視線を落とすと、ランプの色は黄色に変わっていて、その点滅の間隔が縮まっていた。
黄色は、透以外の人から連絡が来たときの色
点滅が早いのはメールではなく電話である証拠だ…
細かい設定を決めたりするのが好きな私は、その携帯を買った日に夜通しで設定し、
そこまでやらなくてもいいのに
と透に苦笑いされた程だった。
『…………』
しばらく見つめていても、黄色のランプが点滅を止めることはない。
『なぁ……あれ電話だろ…?出たら…?』
『………』
『…彼氏かもしんないし…まだ心配して探してんのかもよ?』
『違う…黄色は…違うの…』
私はそう言いながら、床に転がって光続ける携帯に手を延ばす。
透からじゃないから…
だから出るんだから…